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散文的に笑う。

ネットコミュニティに巻き込まれたいサラリーマンクリエイター(笑)の雑記

ネットで出会ったメンヘラ美少女に恋をした16年間

ネットの思い出 恋愛

たしか16年ほど前の中学3年生の時、僕はどっぷりインターネットに浸かっていて、特にチャットソフトにハマってた。

僕が一番使ってたのは、都道府県と性年齢まで掛け合わせて検索できるフリーウェア。そこがネットでの初恋の彼女との出会い。

 

彼女は一つ上の高校一年生。九州のとある県の公立の中でもなかなかの進学校に通ってるとのことだった。リアルな出会いを求めて近隣しか検索していなかった僕が、彼女のプロフ画像に一目惚れして遠距離のメッセージがスタートした。

 お互い進学校だということで、学校の話、受験の話、すぐに打ち解けあい、毎日やりとりするようになるまではすぐだった。

何度か顔写真のやりとりもしたけど、一目惚れした通りの美しい顔を眺めているだけで楽しかった。

 

彼女はどうやら少しメンヘラ中二病で学校ではあまり友達を作らず、ネットの世界と映画観賞に生きているようで、これまたメンヘラ好きの僕としてはますます好きになってしまった。

ミニシアターの邦画に出てくる俗世から少し浮いた制服姿の少女を思い浮かべて、なんとなく海辺の護岸壁をカメラ片手に一人で歩く彼女を想像してた。

僕にとって彼女は間違いなく『害虫』 の宮崎あおいだった。

 

彼女は当時流行ったフリー素材とか、自分で撮った画像を加工したよくわからないサイトをたまに作っては消し、また違うアドレスで作っては消しというのを繰り返してた。今思い出すと、よくわからないポエムみたいなものや彼女の目だけクローズアップした写真が載せられていて、中二病ど真ん中だったと思う。

たまに掲示板が設置されることもあって、そこには男女問わず信者的な人がポツポツとコメントを残しており、僕もその信者の一人として彼女の世界観に浸っていた。

僕にとって彼女は間違いなくリリィシュシュそのものだった。

 

チャットソフトからMSNメッセンジャーに移行し、僕らのやりとりは毎日毎日数時間深夜まで続いた。冗談じゃなく今までの人生で一番コミュニケーション量が多いと思う。

学校であったことや、社会への不満を語り合った後、しばらくチャットが途切れたと思ったら、おもしろいサイトやFlashのURLが送られてきて、僕も彼女が好きそうな映画のニュースやテキストサイトを送った。

吉野家コピペ先行者も彼女と笑いあった。

 

そんな日々が続き僕が高1、彼女が高2になった頃、一週間ほど彼女がオフラインのままだった。2〜3日いないことはあってもただのタイミングのズレだったりして、ここまでのことは初めて。

久々にオンラインになった彼女から聞いたのは、自殺未遂していたということ。大量の風邪薬か何かを服用して死のうとしていたところを家族に見つかり、救急車で運ばれ胃洗浄。しばらく入院してたらしい。

 

ああ彼女は本当に僕の女神になったと思った。普段から死にたいだの、ハルシオンがどうだの、完全自殺マニュアルが面白いだの言っていた彼女が本当に死のうとした。もちろん居なくなるのは寂しいけど、猛烈なカリスマ性を感じた。それを飄々と報告してくる姿にも。

 会えないから行動には移せないけど、この気持ちは恋なんだと思った。

 

彼女に恋をしながらも、僕は恋人ができたり初体験をしたりとしていて、それをまた僕はリリィシュシュな彼女に報告して、弟を見るように喜んでくれた。

彼女はどうやら処女で彼氏も作っていない様子。一度、クラスの体育祭の集合写真を送ってくれた時、クラスで一際白く圧倒的美少女なのに暗そうで端っこに写っている様子を見たときは、本当にフィクションのヒロインのようだった。かわいいけど近づきがたい。彼氏ができないのも納得。

 

彼女が高3になった頃、初めて男の影を感じた。このサイト、おもしろくない?と送ってくれた個人ページ。

歴史的事件や、動物やらをPhotoshopで荒く白黒でコラージュした写真をクリックしていくと、さらにコラージュが出てくるというサイト。これまた中二病感満載だったけど、あの当時に素人がそんなクオリティのサイトを作るなんてNHKデジスタでしか見たことなくて、衝撃を受けたのを今でも思い出す。

東京の大学生のよくチャットする男の子が作ってるんだけどかっこよくない?という彼女のメッセージに、僕は男としての嫉妬心と作品への嫉妬心両方で素直に返事できず、うん、いいねと送るのがやっとだった。

 

そこから、彼女は受験勉強の本格シーズンに入って行くんだけど、たまに出るコラージュの彼の話に毎度心がざわついた。

そして、僕が高3になった春、彼女は東京の大学へ進学。コラージュ男がいる東京へ。

 

大学生になった彼女は少し髪色が明るくなり、ますます可愛くなって、案の定コラージュ男と何度か会い、その報告を僕にしてくれた。

まだ付き合ってはいないようだったけど、心の中では気が気でなかったし、嫉妬に苦しみつづける毎日。

 

そして僕も大学合格。諸々の環境の条件もあり、関西の大学に入ることになった僕はもう半分彼女のことは諦めていたけど、一つだけ夢を叶えることにした。

大学入学直前の春休み、僕は彼女に会いに東京に向かった。

 

知り合ってから4年間焦がれて、原宿で初めて見た本物の彼女は写真よりも想像よりも美少女で、ちっちゃくて、オーラがすごくて、もっと好きになった。

彼女と原宿でクレープを食べて、渋谷でプリクラを撮って、お台場でフジテレビに行って、汐留で晩御飯を食べた。今でも何をしたか全部覚えているほど楽しい思い出。

帰り際、あまりにも離れたくなくて彼女の家付近まで見送り、僕は漫画喫茶で一夜を明かして関西へと帰った。

 

一度だけ彼女の家に荷物を送ったことがあったから、住所を知っていたので朝家の前まで行ってみるという気持ち悪いことをしたけど、もちろん彼女はお見通しで、家まできたでしょ?笑 と次の日に言われて、ますますドキドキした。

 

ここからは、一気に時間が過ぎるんだけど、その後もやりとりは続き、結局コラージュ男と付き合ったこと、彼との珍妙なセックスの話、大学生活なんかも聞いていたものの、僕自身も大学生活でリズムやネットとの距離感がかわり、次第に連絡をとらなくなっていった。

 燃えるほどの恋が徐々に薄れてきて、僕もこれでよかった思う。

 

そして、ネットで出会ってから9年。大学を1年留年した僕が就職で上京。

研修期間の最中、ふと思い出す。あれ?東京にはあの子がいるんじゃないか?

一か八か、通じるかわからない彼女の携帯アドレスへ上京した旨をメール。半日後には返事が来て、彼女が東京にいること、彼とまだ続いて同棲していること、就職したことを知る。

邦画のヒロインのような独特のテキストの打ち方は健在で一気に懐かしい気持ちが蘇った。

 

でも、僕も彼女もなんとなく乗り切らなかったのか、結局やりとりはすぐに止まった。

1年後くらいにもう一度、メールのやりとりをして新宿のロボットレストランについて来てほしいという相変わらずの突拍子も無い話をくれたものの、結局タイミングが合わず。

これが最後のやりとりになったまま。

 

そして知り合ってから16年の今。去年の夏にLINEにいることに気づいて、プロフ画像を見ると、とある展覧会での遠目からの写真だから顔ははっきりわからないけど、30を超えてもっと美しくなったであろう彼女の姿があった。

本名は下の名前しか覚えていないし、ハンドルネームも何度か変わる子だったからFacebookでは見つけられなかった彼女にやっぱり胸が締め付けられた。

 

思わずメッセージを送ってみたら、既読スルー。そして先月も既読スルー。

予想はしてたけど、やっぱり軽くでいいから返事してほしかったな。既読になるからブロックされてないだけすごいけど。

でも、彼女がコラージュの彼と幸せにいるならそれに越したことはないかな。

 

秒速5センチメートルを見ると、彼女のことを思い出さずにいられない。

ネットのおもしろさを教えてくれたのは彼女だったし、今でもネットの仕事をすることがある僕にとって人生にかけがえない時間をくれた人でした。

 

これが僕がネットで初めて人を好きになった歴史。最後の悪あがきで、URLは教えないけどブログに書いたことを報告してみて終わりにしよう。